第30回 期待値の計算 | PFアイドルマスター(3)

シミュレータを作って前回までの計算の検証をしたのですが、どうしても腑に落ちない点がありました。

RUSH突入率(V-LOOPを最低1個は獲得できる確率)が64%になるように、ストックタイム中の普図抽選の回数を設定(100回で264.3回)したのに、RUSH突入率が61〜62%程度となってしまうのです。

その原因が判明したのでまとめておきます。
また、某巨大掲示板の機種スレに書かれているストックタイム中の普図抽選の回数(ストックタイム100回で265回、150回で397.5回)もこちらで想定した回数とほぼ同じです。
その出典はわからないのですが、もしその回数が正しいとすればRUSH突入率は61〜62%程度となるはずです。

1.264.3回の根拠

RUSH突入率は少なくとも1個はV-LOOPを獲得できる確率ですから、1/350で64%の場合次の式が成立します。
\[ \begin{align} 1-(1- \frac{1}{350})^k = 0.64\\ \end{align} \] この \(k\) を解いて、 \[ \begin{align} (1- \frac{1}{350})^k =& 0.36\\ (\frac{349}{350})^k =& 0.36\\ \end{align} \] \[ \begin{align} \therefore k =& \log_{\frac{349}{350}} 0.36\\ =& 357.07回 \end{align} \] ストックタイムは、100回と150回との振り分けで平均112.5回、途中で引戻す場合も含めて平均135.09回得られます(算出方法は第28回を参照ください)。
135.09回のストックタイム中に357.07回の普図抽選が行われるためにはストックタイム100回なら
\[ 357.07\times\frac{100}{135.09} = 264.3回 \] と考えたわけです。しかしこれには問題が・・・

2.シミュレーション結果

当然最初はシミュレータのバグだと考えました。
しかし、シミュレーションで実際に行われているストックタイムの回数も普図抽選回数も問題はなく、何度実行しても

1. RUSH突入率が低い
2. V-LOOP4個の獲得率が理論値よりだいぶ高い

という傾向が変わりません。

【図1】初当たり10万回分のシミュレーション結果

【図2】初当たり100万回分のシミュレーション結果

図中の連数とは継続数ですが、初当たりは含まれず、V-LOOPが複数あれば合計した継続数です。 獲得ラウンド数も同様です。
V-LOOP一回の平均継続数は3.57回ですがV-LOOP平均獲得数を1.016個と想定したのでV-LOOP分合計した継続数の理論値は3.57よりわずかに多く3.628くらいです。

3.なぜ64%にならないのか

この式を見てください。 \[ \begin{align} 1-(1- \frac{1}{350})^{357.08} = 0.64\\ \end{align} \] この式は等号が成り立ちますし、350分の1を357回抽選するということを繰り返せばこの式のとおりRUSH突入率は64%となります。

しかし実際の抽選回数はストックタイムの回数、引戻し回数などによりブレがあります。 平均で357.08回得られたとしても、実際にはストックタイム100回を駆け抜ければ264回ほどしか普図抽選は行われません。

357回よりずっと少ない264回で終了することが半分以上(319の引戻し率は約42%)あるため、結果としてRUSH突入率は低くなります。

このことは次のような極端な例で考えると分かりやすいかもしれません。

99% 1回転
01% 35,601回転

この振り分けも平均357回転ですが、これでRUSH突入64%となるわけがありません。

また、V-LOOP4個の獲得率が高い理由も同様で、普図抽選の回数にブレがあり、平均より多く普図抽選を受けられるケースがあるためと考えられます。
獲得数に制限がなければ特に4個の場合だけ理論値から乖離するということは起きませんが、4個までと上限があるため、2個や3個に比べて増えたのだと思われます。

その辺りを確認するために別の簡単なシミュレータを作って検証してみました。

4.検証

確率は1/350で時短が2種類あるモデルを作り、振り分けを色々変えて実行しました。
当たりを引いても4個になるまで残りの時短を実行する仕様です。

【図3】初当たり10万回分の検証結果1

振り分け率はいずれも50%・50%で、一番上は1/350を350回の場合用として350回・350回。
真ん中は250回・450回(平均350回)、一番下は100回・600回(平均350回)です。

ブレが大きくなるほど突入率が下がり、4個獲得率が特に上がる傾向が確認できました。

さらに、元々のストックタイム100回で264回の普図抽選に近いモデルとして、時短振り分け264回・528回を振り分け率67%・ 33%で実行した結果が【図4】の上段です。
これも平均すると350回です。

【図4】初当たり10万回分の検証結果2

かなり【図1】に近い状況が作れました。
そこからこれを突入率64%にするには抽選回数をどれくらい上げる必要があるか試したのが【図4】の下段です。

平均350回転を380回転にする必要があり、1割弱増やさなければなりません。

この結果を参考に元々のシミュレータで普図抽選回数を少し増やしてRUSH突入率を64%に上げた結果が【図5】です。

【図5】RUSH突入率64%にしたシミュレーション結果

ストックタイム100回で264回の普図抽選を284回に増やしたものです。
結果、平均普図抽選回数は380回ほどとなっています。

もし本当に実射でRUSH突入率64%であったとしたら、ストックタイム100回の時の普図抽選回数は284回必要だとわかりました。
ますますホールで確かめたくなります。

2021.02.15 DEM.
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