少子化はホントに心配なことなのか?

2010/06/21 18:06 カテゴリ: 生命

一人の女性が一生に産む子供の平均数(合計特殊出生率)が2を割っています。

1960年代に数度2を下回り(うち一度は丙午)、ゆっくりと下がり続け、1990年代に1.5を割り、2005年に1.26を記録してからはほんの少しですが上昇しています。

直近の問題点としては、寿命の伸びと相まって人口構成が高齢化していることです。

その意味では何か手を打つ必要にかられますが、社会制度などの改変で改善されるでしょうか。

最新の合計特殊出生率や政府の動向は以下によくまとめられています。
図録▽合計特殊出生率の推移(日本と諸外国)
https://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1550.html

これを見ても効果がある、あった、とはなかなか思えません。

政府や政権に文句が言いたいのではありません。

むしろ「そんなに心配いらないのでは?」と思うのです。

社会不安を取り除き、安心して子を持てる社会環境作りをすることは重要ですが、それは少子化問題がなくても成熟した社会であれば当然目指すべきことだと思うのです。

少子化傾向はいずれブレーキがかかります。

まず間違いなくかかります。

特に何も手を打たなくても合計特殊出生率はやがて上昇します。

なぜそう思うのか。

この問題が生命の繁殖に関わることだからです。

生命の定義は様々ありますが、生物学では

代謝をすること
自己増殖すること
外界との区別がある(自己の境界を持つ)こと

が挙げられます。

自分のコピーを作る(繁殖する)ことは生命の根幹であり、ヒトも例外ではありません。

生命の誕生以来、遺伝子の複製は連綿と続いています。
私たちを含む現代のすべての生命は「巧いこと自己増殖に成功してきたモノタチ」の子孫なのです。

遺伝子は交配に依る組み替えや突然変異などで多様化し、数多くの種となり、同種内にも個体差が生じました。

多様化は大量絶滅に抗い、同種内の個体差は競争を生み、増殖能力(生存力+繁殖力)に優れたものが勝ち残る形で進化してきたのです。

合計特殊出生率は平均値です。
たくさん産む人もいれば産まない人もいます。
そのバラツキがミソなのです。

何人の子を産むかという問題は社会の制度や情勢に左右される部分もありますが、同じ環境でも産みたいと思う人がいれば産みたくないと思う人もいるでしょう。

結果として、たくさん産んだ人はそうでない人に比べて自分のコピーを広く次世代に伝えることになります。

わずかな差であっても何世代も続けば有意な差になるでしょう。

自然と「産みたい人」の割合は増えるだろうと思います。

Sponsored Link