第8回 パチンコ「ボーダーライン」の誤解

今回は久しぶりにパチンコの話題です。
デジパチで、勝つための条件として良く言われる「ボーダーラインを超える台で打て」あるいは逆に「ボーダーライン以下の台では絶対に打つな」を調査してみたいと思います。

2012.05.31追記
この記事は1997年に書いたものです。
ボーダー理論については新しい記事がありますので、そちらも参照ください。
第23回 逆正弦定理 〜ボーダー理論は否定される?
第22回 ボーダー理論のビジュアル化
第21回 確率はホントに収束するのか

ボーダーラインとは、「期待収支が±0となる千円あたりの回転数」のことです。

1.ボーダーラインのここが疑問

まず、ボーダーラインについて私が疑問に感じている点を説明しましょう。

  1. ボーダーライン丁度の台で永遠に打ち続けたとき、収支の平均は±0に近づくのか
  2. 千円での回転数が1回多いか少ないかで、結果がそんなに違うのか
  3. 回転数をマークするだけで月毎の収支を常にプラスにすることができるのか

要は、数百分の1の確率の収束速度とその収束値を調べてみようというわけです。
今回はシミュレーションを行います。デジパチの「モデル」をプログラムで作り、実行させて結果を見ようと言うわけです。

2.モデル

今回設定したデジパチモデルは次の様な仕様です。

  1. 大当たりの確率は1/200
  2. 大当たりで得られる出玉を換金した場合の金額は6000円
  3. 投資単位は1000円
  4. 大当たり時に上皿に残っている球数は平均162.5個
  5. 千円での回転回数をボーダーライン±4回の9通りで実行
  6. 一回交換
  7. 1日の投資時間は13時間、1時間に9000円分の玉を消費する
  8. 大当たりすると20分の間投資できない(1日の投資可能額が3000円減る)
  9. 千日間分実行し、回転回数毎に平均日当の収束をグラフで確認する

このときのボーダーラインは次のように考え、計算されます。

大当たりで6000円得られるので、6000円投資する間に一回当たればよい。
確率が1/200なので、6000円で200回抽選できれば良しとしよう。
そこで、ボーダーラインBは、

B=(200/6000)×1000≒33.3<34

となるわけです。

ここがどうも腑に落ちないんです。6000円で200回抽選しても、200回以内で大当たりする確率は63%程度なのに(ここがわからない人は第3回を参照して下さい)本当に収支の平均は±0になるんでしょうか?
結果を見てみましょう。

3.シミュレーション結果

下のグラフを見て下さい。青い線が1回目、赤い線が2回目の結果です。
ボーダー(34回転/千円)で、少しプラスですね。

(他の回転数での結果はこちら

4.考察

さて、結果は良く知られているとおりになりました。
冒頭の疑問に応える形で整理してみましょう。

  1. ボーダーライン丁度の台で永遠に打ち続けたとき、収支の平均は±0に近づくのか
    収支の平均(平均日当)は±0になりそうです。今回の設定はボーダー33.33…回/千円のところを34回転させているため多少プラスに出ていると考えられます。
    こうなると、ボーダーの計算は注意深く行う必要がありますね。
  2. 千円での回転数が1回多いか少ないかで、結果がそんなに違うのか
    ずいぶんと違うことがわかりました。1回転多いだけで平均日当にして2000円から3000円ほど高くなります。
  3. 回転数をマークするだけで月毎の収支を常にプラスにすることができるのか
    これは難しそうです。1年(300日〜400日)でやっと収束の兆しが見える程度ですね。

さてさて、結果を私なりに解釈してみます。(反省も含む)
1/200の確率で収支が落ち着くにはかなりの時間が必要である。
毎日開店から閉店まで打って、それを半年続けてもまだバラツキが大きい。
ボーダーラインは重要な目安であり、永遠に打ち続けたときの平均日当0ラインである。
それ故機種の仕様、ホールの営業方法などを考慮して注意深く計算する必要がある。
永遠に打ち続ける場合、回転数が1回多いか少ないかは結果を大きく左右する。
もうひとつ。当初、大当たり時の上皿の球数を無視していたのですが、これを改良しただけで平均日当が-6000円から+2000円にまで上昇しました。
正直なところ驚きました。確かにこのモデルは確率変動なし・一回交換ですので、大当たり時の上皿の残り玉数はシビアに効くのでしょう。
かなり神経を使っても、無駄玉は避けなければいけません。
これは長くやって勝とうとする戦略において生命線ともいえる戦術です。
「チャッカーが3個点灯したら打たない」「ぎりぎりまで次の投資を避ける」などは基本中の基本ですね。

といったところでしょうか。いずれ、確率変動や無制限を考慮したモデルに改良し、戦術の分析(いくら以上負けたらやめる戦法が有効か否か等)もしたいと思っています。
ご希望の方にはソースをおゆずりしますので、ぜひ批評していただきたいと思います。今回は「MacPerl」で書いています。プログラミングは素人同然ですので、その辺のご指摘もいただければうれしい限りです。

これで第8回の内容は終わりです。
次回は失敗の無いように...

1997.09 DEM.
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